2014年7月28日 (月曜日)

作業療法士が語る「作業療法」

マニアックオヤジの自助具自作コラム

OTであれば、多かれ少なかれ自助具を自作したことがあるでしょう。用途や目的が同じであっても、作る人の工作技術により使い勝手や耐久性、見た目の美しさに大きな差が出ます。

そこで、ちょっとだけ手が器用なマニアックオヤジの経験をお伝えできればと思います。

まずは、自助具に使用する素材について。

ちょっとした物をつくのであれば、木材や樹脂を使用することが多いでしょう。しかし、耐久性や強度を求めるのであれば、金属を使用する必要もでてきます。金属の中で加工性や耐食性、耐久性にすぐれ、入手しやすいのはアルミニウムです。ホームセンターでも売られています。アルミニウムと一言で言っても、多くはアルミニウム以外の金属を混ぜ合わせたアルミニウム合金です。金属の配合によって性質が大きく異なるのもアルミニウム合金の特徴といえます。

そこで、今回はアルミニウム合金の基礎知識をまとめてみましたのでご覧ください。



アルミ合金

アルミニウムの特徴

・軽い(鉄の1/3)、強い(比強度が大)

・耐食性が良い(酸化皮膜の自己補修作用)

・加工性が良い

・電気をよく通す(銅の60%であるが比重が1/3なので2倍の電流を流せる)

・磁気を帯びない

・熱をよく伝える(鉄の3倍)

・低温に強い(液体窒素-196℃の極低温下でも脆性(ぜいせい)破壊が無い)

・光や熱を反射する

・毒性がない など


アルミ合金の種類

アルミニウム合金には、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名が使用されている。

1000番台】

純アルミニウム 加工性、耐食性、電気伝導性、熱伝導性はよいが強度が低い

用途:アルミ箔、化学工業タンク類、導電材・航空機、1円硬貨

2000番台】

Al-Cu系合金 ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる高強度材。耐食性に劣る

3000番台】

Al-Mn系合金 加工性、耐食性(純アルミと同等)、強度が良好

用途:航空機・ビール・ジュース缶ボディ部

4000番台】

Al-Si系合金 耐摩耗性が良好。4032 鍛造ピストンなど、4043 建築用パネルなど。

5000番台】

Al-Mg系合金、耐食性はとくに塩分に強い

用途:船舶、車両、航空機・自動車用ホイール、建築用内外装、圧力容器、ビール・ジュース缶蓋部分

6000番台】

Al-Mg-Si系合金 強度、耐食性が良好

6063 用途:建築用サッシ、スポーツ自転車のリム・ハブ・ペダルなど

7000番台】

Al-Zn-Mg系合金・Al-Zn-Mg-Cu系合金 高強度材であり、Cu系はアルミ合金中の最高強度である

7075 超々ジュラルミン

用途:航空機など、鉄道車両用構造材、スポーツ自転車ギヤ板、キャンプ用テントのフレームなど

8000番台】

  それ以外の合金。

※ジュラルミン

アルミニウムと銅、マグネシウムなどによるアルミニウム合金の一種で、ジュラルミンには、JIS規格で下記に分類される

A2017 - ジュラルミン】 (銅;約4%、マグネシウム;0.5%、マンガン;0.5%

切削加工性、強度に優れた熱処理型のアルミ合金。強度面では、環境によっては鉄鋼材料に匹敵するが、溶融溶接性や耐食性には他のアルミ合金に比べてやや劣る傾向がある。鍛造可能。航空機や油圧部品等に使われている。

A2024 - 超ジュラルミン】(銅;4.5%、マグネシウム;1.5%

ジュラルミンよりさらに強度が高く、切削加工性も同様に優れたアルミ合金。ただし強度のかわりに耐食性がやや低く、これを補う合わせ板として、表面に純アルミ系のA1230をはりあわせて耐食性を改善したA2024PCがある。航空機、スピンドル、ボルト、各種構造材料として使われます。

(写真は航空機の腐食した部品)Image002


A7075 - 超々ジュラルミン】(亜鉛;5.5%、マグネシウム;2.5%、銅;1.6%

アルミ合金の中でもトップクラスの強度を持つ材料の一つ。強度はあるが、反面、応力腐食割れや耐食性については使用環境に留意する必要がある。このようなウィークポイントを補った合わせ板として、表面にA7072を貼り付けて耐食性を改善したものがある。航空機やスキーなどのスポーツ用品に使われる材料である。加工性については強度に反比例して、アルミの中では悪いほう。

アルマイト(陽極強化被膜)

アルミニウムは空気中にさらすと、表面に薄い酸化皮膜(酸化アルミニウム Al2O3)をつくる。この被膜はアルミニウムの表面を保護し、腐食を防ぐ働きをする。この被膜を人工的に厚くしたものがアルマイトである。電気的絶縁性がある。

アルマイト処理

硫酸やシュウ酸などの電解溶液の中で陽極側
にアルミニウム、陰極側に鉛版を設置して電流を流すと、陽極から発生する酸素とアルミニウムが化学反応を起こしてアルマイトが出来る。このとき、アルマイトには電気の通った微細な孔が無数にあいている。このままでは、吸水性があり汚れの原因になるため、高温・高圧の水蒸気を吹き付けたり熱湯中で処理(封孔処理)して孔をふさぐ。

アルマイト処理をすることで、耐食性、耐摩耗性、耐光性を高め、染料をつかって様々な色を着色させることが出来る。

Image003_2


※アルミニウム自身を酸化させて被膜を作るため、アルミニウム部分の寸法が若干変わる。(下図)
Image005


※ちなみに、「めっき」とは:陰極で電解し表面を電解液中の金属イオンで還元析出させる処理(アルマイトと逆の処理)

コメント:

いろいろ小難しいことを書いてしまいましたが、日常生活で使用するならば耐食性はあまり気にしなくても良さそうですし、過剰な硬度は加工性に影響するので、加工のしやすさと強度とのバランスを考えた上で適切なアルミ合金を選んだら良いかと思います。

次回はアルミ合金を使用した自作自助具を紹介します。

2013年5月14日 (火曜日)

作業療法士が語る作業療法

私が働く病院は、地域に根ざした医療を展開しており、高齢者や障害を抱えた方が、住みなれた地域の中でその人らしい生活ができるように支援を行っています。その中で私は、病気や障害により長期的な入院が必要となった方や人生の最期を迎えようとしている方、自宅退院に向けて支援が必要な方など、様々な方が入院している病棟で作業療法を実施しています。

 

今回は、私が普段どんなことを大切にしているかを交えながらお話ししたいと思います。私が働く病棟は前述したように様々な方が入院されています。その病気や障害はどちらかというと重症の方が多いです。自分では座ることも、立つことも、ご飯を食べることもできません。生活する多くのことに何等かの介助または全てに介助が必要なのです。

 

そこで私は、「その人らしさ」を大切にして作業療法を行っています。ですから、一番初めにすることは「その人を知る」ということです。どこで生まれ、どこで育ち、どのような生活を送り、そのような人生を歩んできたのかを知るということです。

 

知った情報をもとに医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、栄養士、歯科衛生士など多くの職種からなるチームの一員として、できる限りその人の生活を尊重したかかわりを行っていきます。

 

座れるようになりたい。歩けるようなりたい。食べられるようなりたい。と言われることがあります。そこで私は、どのような椅子に座りたいか、座って何をしたか、どこへ行きたいのか、何で(箸、フォーク、スプーンなど)食べたいのか、何が食べたいのかなどを聞きます。そして私は、その為の手段を考えたり、実現に向けた練習をしたり、実践の場を作ったりとその人らしさを取り戻す支援をしていくわけです。また、病気になる前の生活に近づくような関わりの中で、以前とは同じ方法で生活することが難しい方もいます。そのような方に私は新しい方法や新しい生活を提案し、その人がその人らしく生きることが継続できるように支援しています。

 

「明日がわくわくして楽しみだ」と思えるように、今日という日を一緒に寄り添い、いろいろな可能性を本人、家族と一緒に考えていく。作業療法士はそんな一端を支える仕事だと思います。

 

2013年4月15日 (月曜日)

作業療法士が語る 作業療法

 私は作業療法という仕事が「凄い」など他の仕事や職種と比べて特別だと思ったことは一度もありません。自分のモチベーションは仕事の内容に対して向いているのではなく、自分の知識や技術を通して患者さんが楽になったり、良くなったりすることを患者さんと共有できたことから湧いています。これは以下に述べるエピソードが大きく関与していると思います。私の通っていた専門学校は夜学だったので、昼間は病院で働いていました。仕事内容は作業療法助手、手芸の先生みたいな業務でした。30年も前なのに鮮明に覚えていますが、ある時一人の入院患者さんに“先生、悪い方の肩が痛いんだけど何とかなりませんか?”と言われて、その時少し考えた後に自分に対処ができないことが分かり、“この作業に集中すれば痛みは忘れますよ”と返答しました。その時その患者さんは諦めと納得の混ざった複雑な顔で数回頷いていました。その時の答えは間違えではないと今でも思いますが、根本的な解決ではないことも理解していたので、申し訳ない気持ちと不甲斐ない気持ちと悔しさが混在した何とも言えない気持ちが沸きたち、作業療法士になったら絶対こういう声を受け止める心と技術を身につけたいと強く思いました。そして、その両方がまがりなりにも獲得できた今だから思うのですが、本当の意味でこの出来事が作業療法士になれた起点だと思っています。作業療法は分野により、また治療概念により様々な方法論や技術があります。そのため作業療法をひとまとめに語ることはできませんが、作業療法という仕事は「患者さんと生活をつなぐ仕事」だと思っています。私が臨床経験のなかで多く接してきた患者さんは一見すると何気なく過ごされているように見えますが、実際には患者さんとその患者さんを取り巻く生活環境や課題の間には大きな溝があります。作業療法士はその溝の渡り方を患者さんに指示(教示)するのではなく、「患者さんの全てを受け止める心で」で、どうして渡れないか共に悩み、共に考え、「作業療法の技術」で、作業活動や徒手的な手段を通して渡れるよう運動能力を高め、それでも足りない時は自助具等で補って、何とかその溝の両端をつなぐ橋を作り、そして、その患者さんが一人で何とか橋を渡る姿を後ろからいつまでも見守ることが仕事だと思っています。

 

 我々医療職は病気の人がいることで成り立っています。言いかえれば人の不幸から始まっています。だからこそ私たちの知識と技術で不幸の「不」から一角ずつ取り除き、幸せな人生に導けることを心から願っています。

2013年4月 1日 (月曜日)

作業療法士が語る 作業療法

●雑感 昔々・・・

 

高校の先輩が府中リハビリテーション専門学校に進学したということを聞き、初めて「リハビリテーション」という言葉を知りました。「リハビリ」という言葉が一般的にもほとんど知られていなかった頃です。障害のある方と関わる仕事だということをおぼろげに聞いて興味を持ち、その事を父に話すと一冊の本を買ってきてくれました。故砂原茂一先生がお書きになった岩波新書の「リハビリテーション」という本でした。高校生の私にはその本を読んでリハビリテーションの全貌を理解することは出来ませんでしたが、理学療法と並んで書かれていた「作業療法」の内容に惹かれました。「人権回復思想と医学が結びついた第三の医学、リハビリテーション」「作業療法は障害を負った方を職業復帰させる仕事」「仕事に復帰し自立した生活を送ることで自尊心を取り戻す」、この最後の「自立した生活を送ることで自尊心を取り戻す」というところに、それまで自分が考えていた障害者福祉とは違う、新しさと魅力を感じました。実際の作業療法は職業復帰ばかりを目的としてはいないのですが、高校生の私は読解力もないので、そんな風に作業療法を認識して進学しました。実際に仕事に就いて、いろいろ間違った理解をしていたことがわかってきましたが、人が自尊心を持って生きることの価値に疑いの余地はありません。作業療法の目指すクライアントの自己実現が、自尊心を支えることに繋がるものであったら素晴らしいことだなと思います。

 

 

●雑感 これから・・・

 

作業療法の専門はICFでいうところの「活動制限」「参加制約」の改善で、クライアントのデマンドの理解と、的確なニーズの見立てがスタートラインです。このスタートラインまでの過程で、クライアントの意志を反映させることが大切なのですが、この部分での「うまくいっていない感」にずっとOTは悩んできたと思います。この不具合を解決するために「COPM」「作業科学」「ADOC」等、色々な手法とその実践が学会でもたくさん報告されていました。でもなんかまだビビッと来ない・・ので、もう少し勉強したいと思っています。同時に作業療法の治療効果が科学的に証明されていくことが必要ですが、この二つがあと20年で実現されて、自分の老後は作業療法をうけながら自宅で最後まで暮らせたらいいな、と思っています。

2013年3月22日 (金曜日)

作業療法士が語る「作業療法」

 作業療法って何だろう。私は、作業療法士になって10年ほど経つまで自分にも周りの人にも答えられなかった。

 

 とある専門学校で、毎年留年ぎりぎりの成績を取りながら、仲間に支えられて何とか卒業し、作業療法士にはなった。もう30年も前の話である。作業療法って何かまったくわからなかったが、学校を卒業したのでとりあえず就職した。作業療法士にはなったが、作業療法士の仕事ができたわけではなかった。

 

 就職先は、公立の通園施設だった。新卒なのに福祉系の一人職場を選んでしまった。作業療法の奥の深さ、自分が子供たちの人生に触れる仕事であるという、「ことの重大さ」には気づいていなかった、安易な選択だった。そこではいくつもの大きな壁にぶち当たった。

 

 同僚のマッサージ師が行ういわゆる「機能訓練」で、子供が泣くのがいやで仕方がなかった。泣いている子供を見ている母親の表情がいやでたまらなかった。なんで障害を持っただけで、こんなにいやな思いをしなければならないんだろう。できの悪い新米作業療法士が抱いた、素朴な疑問だった。障害があっても、もっと楽しく暮らしてほしかった。作業療法はできないけれど子供が楽しく遊ぶにはどうすればいいかは、新米作業療法士でも考えられた。

 

 子供が泣かないセラピーはとても楽しかった。子供が楽しそうな表情になると、同席してる保護者の表情が和らいだ。あのつらそうな表情が母親から消えていった。何よりも私自身が楽しかった。そして、作業療法ってなんだろうなんて考える暇がなくなっていった。

 

 新米作業療法士ができることは限られていたが、新米でもやらなければならないことは多岐にわたった。公務員の新任研修が終わって、作業療法士として配属先の施設にいったら「ひよこグループの担任の先生」になっていた。集団指導なんて実習でも体験したことがないのに。それだけではない。医学的な知識を始め、子どもの生活、子どもの発達、保護者の心理など、わからないことばかりだった。わからないので、同僚に教えてもらった。そう、同僚は全員他職種。自分がわからないことは他職種に聞いたほうがいいんだという感覚は、きっとこのときに身につけたのだと思う。壁にぶつかった私を支えてくれたり、解決できるように一緒に歩いてくれたのは、みんな他職種のスタッフだった。自分とは違う知識や技術、価値観を持っている人と一緒に仕事をすることこそが、発達を多角的にとらえる唯一の方法だと、心身にしみこんだ体験だったと思う。

 

 自分がやっていることが作業療法かどうかはわからなかったが、子供が楽しく遊んでいると、できなかったことができるようになっていった。子供の発達する力は強いからだと思っていた。しかし、発達がひどくゆがんでしまう子供もいた。発達する力が強いからこそ、発達がゆがまないようにアプローチをすることが大切だということに気づいた。そんな頃、「子供が楽しく集中して遊んでいるときが一番脳の組織化が促される」ということが書かれていることを知った。エアースの言葉である。相変わらず、自分のアプローチには自信が持てなかったが、「自分は子供が楽しく遊ぶことしか支援できない」と思っていたが「楽しく遊ぶことは子供の発達を促すためにはとても重要なことだ」と気づくきっかけとなった。

 

いま、「作業療法って何?」と尋ねられれば、すぐに「『楽しいことをしていたら知らないうちにできるようになっちゃった』というのを治療に応用したセラピーだよ」と答えている。楽しいこととはもちろん、目的活動である。対象が子どもならばこの目的活動は遊びである。目的活動は、活動を行うことで、心も体も成長することができる。子供が笑顔になると、保護者も笑顔になれる。子育ての大変さの中で、子供と一緒に笑えることは親にとって幸せな一瞬であり、それは、定型発達児でもこどもに障害があっても変わらない。どんな治療をするかは、場数を踏んでいるので何とかなるようになってきた。いまは、家族みんなが幸せに暮らせるために、対象児と対象児の周りの人間にどんな働きかけをしていけばいいのかを考えるようになっている。作業療法という対人援助の仕事をしていく以上、きっと永遠のテーマかもしれない。

2013年2月27日 (水曜日)

作業療法士を目指したきっかけ

 最近では、人から「どうして作業療法士になったのですか?」と問われる機会が減ってきました。それだけ自分の年齢が上がってきて、研究活動を中心とした生活をしているからだろうと感じております。そこで、今回は初心に戻る気持ちを込めて、なぜ作業療法士を目指したのかを話したいと思います。

 

 大学の体育学部を卒業後、療養型病床群を持つ老人病院に就職しました。介護の仕事の傍ら、体育教師になるための準備をしておりました。せっかく病院で働いているのだから、医療の専門職の資格を取らないか、と先輩や上司からの誘いで働きながら通える夜間の作業療法士養成校の受験をしました。

 

 このとき、なぜ作業療法士になることを決めたのかというと、介護の仕事の経験が大きかったと思っています。介護は、患者さんの生活に密着した仕事であること、例えば食事介助や入浴介助、寝たきりの患者さんを車いすへ移乗させることなどの重労働もあります。このような仕事は、工夫しないと患者さんの生活の質を悪くすることがあります。また働く人の健康を害することもあります。つまり、科学的な裏付けを持って患者さんに関わることの必要性を介護の仕事から学びました。そのため、専門的な医学の知識と患者さんの生活活動(作業)の知識を学ぶことによって、生活を科学するという観点を持つことができるようになりたいと思いました。このような専門的知識を活かした患者さんへの関わりが作業療法であると思います。体育学部出身なので、理学療法士の方が良かったのではないか?と言われることもあります。しかし、最初に就職した病院では、患者さんの生活に関わる作業療法士が一番輝いて仕事をしているように見えました。

 

 このような経験によって、高齢者を対象とした作業療法が非常に重要な仕事であることを知りました。

2013年2月18日 (月曜日)

精神科勤務のある作業療法士の1日

作業療法はその人らしさを発揮出来るようにお手伝いすることだと思います。

 

午前:まずは病棟の申し送りに参加して昨晩から今朝にかけての患者さんの状況をチェック。病棟でカラオケプログラム開始。機材運びを手伝ってくれるAさんが機材を肩からかつぎかけるため「他の人にぶつかったら危ないから提げて持ってね」と伝えると渋々肩から下ろす。音楽が流れるとオリジナルのダンスを披露するBさんの振り付けを真似てみるがこれがなかなか難しくて上手くいかない。Bさんは参加している人それぞれに話しかけるように場所を移動しながらずっと踊っている。Cさんが今日もまたビートルズナンバーをエントリー。Cさんの話し言葉は聞き取りにくいが歌になるとはっきり聞き取ることが出来る。Dさんはエントリーはせずに他の人が歌う時に一緒に口ずさんでいる。「人前で歌うのはちょっと」とのこと。「ゴルフに効くヨガがあったら教えてよ」といってくる。Eさんが得意の1曲を熱唱し場が盛り上がる。Dさんのリクエスト曲を全員で合唱し終了。終了後、Fさんが退院。もともと綺麗な顔立ちの女性だったが表情が豊かになり美しさが増した感じ。にっこり笑って退院していった。

 

昼休み:同僚たちとサッカーの話、ドラマの話などで盛り上がりながらランチタイム。午後に備えてエネルギーをチャージ!!

 

午後:作業療法室で個別プログラムを開始。ガンダムのプラモデルを組み立てているGさん。Hさんはその隣でプラモデルをちらちら見ながら読書。Iさんは水彩絵の具で紫陽花を描いている。Jさんは前回の外泊で夫から「家事くらいやってもらわないと困る」と言われ今日は参加者のお茶をいれてもらうことに。お湯を飛び散らしながら急須に注ぎ少々雑だが手際よく準備し配る。なかなかおいしいお茶。「家ではやる気がしない。なんだか億劫で」と話す。Gさんが「ほら脚が出来た!」と言ってガンダムを見せてくれる。それぞれ片付けをして終了。

 

夕方:看護師と来月のイベントについて打ち合わせる。その後は今日実施したプログラムの個人記録をひたすら打ち込む。Dさんにネットで調べたヨガのポーズを伝授する。

 

終業後:自分のための作業療法をしにスポーツジムへ。ピラティスのクラスで身体を動かし心身共にリフレッシュ!!!明日もぼちぼちやっていこう!

2013年1月30日 (水曜日)

まっこと不思議な職業

 

『作業療法士』とは、まっこと不思議な職業だ。

 

まず、職業を問われて「作業療法士です。」と答えるときのしゃべりにくさ。「GyouRyouHou」と続くところの発音が難しい。一度「詐欺横領士ですか?」と聞き返されたことがあるので、相手のユーモアに敬意を払いながら、ゆっくりと「作・業・療・法・士・です。」と答えておいた。

 

日本だけの職業かと問われた場合は、「No!」と言った後、「Occupational Therapist (オキュペイショナル セラピスト)」と答えるが、さらに滑舌は悪化する。英語も日本語も発音要注意の資格名称である。

 

次に苦労するのが、作業療法とは何をする職業なのかと問われたときである。協会の定義を持ち出すと、「身体または精神に障害のある者、またはそれが予測されるものに対してその主体的な活動の獲得をはかるため、諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療・指導・援助を行うこと」とあるが、これが分かりづらい。

 

もし、これが「調理師」であれば、「または腸に空腹感のある者、またはそれが予測されるものに対してその主体的な活動のエネルギー獲得をはかるため、いろいろな食材を用いて料理を行なうこと」となるのかもしれないが、こっちの方が分かりやすい。

 

最近は、始めにこう説明することにしている。

 

「容易に養成校に入学でき、3年から4年頑張って勉強し国家試験に合格すれば待っているのが就職率100%。医療機関や施設に就職し、公務員も狙うことができる。バブリーなことはないが収入は安定しており、育児後の再就職も可能。適度な運動と一部デスクワークがあり、一生続けられる体にやさしい仕事。」

 

さらに追い打ちとして、「困っている人のために働いて、感謝され、報酬をもらえるのだから理想的な職業。」と付け加える。

 

ここまで言って興味を示さない場合は、素直にあきらめる。

 

 興味を持って頂いて、作業療法は実際にどんな風に仕事をするのかと質問された場合は、真面目にこう答えることにしている。

 

 「対象は、小さいお子さんからお年寄りまで幅が広い。仕事の内容も就職先によって大きく異なるので、いろいろな現場を見学してみることをお勧めする。用いる作業活動も種類が豊富で、園芸や手工芸のような趣味的な活動や、身の回りの動作や掃除・洗濯などの家事動作、あるいは徒手的な治療を行なう職場もある。養成校での3~4年は長いが、自分に合った仕事の内容と職場を探す期間と考えれば長くはない。何よりも専門職としてある程度自分の裁量に任せてもらえるので、やりがいが持てる仕事である。」